2020.02.19
江東区に拠点を置く老舗印刷会社SouGoの社長、北条裕子さん。 いち早くサスティナブルな経営を続けてきた同社は、環境にとことん配慮したホテル「八寿恵荘」の経営、アトピーや乳がん経験者の方々を対象としたヘルスツアー、国産カモミールにこだわった化粧品「華密恋(KAMITSUREN)」と、多岐に渡る業態それぞれでも高い評価を得ている。 地域からの厚い信頼は、結果的に、本年8月に始動するかつてないアート展「深川アートパラ 2020」を生み出したし、「生産者をトレースできるものは気持ちいい」というスタンスで、エネルギーではみんな電力を選んでくださった。 3/7(土)には、相次ぐ巨大台風に暖冬と、如実に感じる気候変動の影響を受けやすい海抜0m地帯=深川にて、北條さんがメインゲストのトークイベントも開催される。 長く未来のスタンダードを先駆けてこられた言葉は、示唆に富む。
カミツレエキスの原料となるカモミール
北條 一番最初は、日本ビオホテル協会の方からみんな電力さんをご紹介いただきました。そしてその後お話を聞いて、すぐ切り替えを実行させていただきました。 —八寿恵荘が国内第一号となったビオホテルジャパンの認証取得は、とても厳しいと聞いています。
SouGo創業者であるお父上の故郷・長野県池田町には、
カミツレエキスの製造工場と有機JAS認定自社農園を集約した地「カミツレの里」がある
北條 でもそれも、認証をとろうと思ってやったことでななくて、使う食材だってずっと自宅でもつくり手のわかるものでしたし、そういうことを普通に継続してきて、それをホテルというかたちに拡げただけなんです(笑)。 八寿恵荘のある長野県・池田町はそもそも父の生まれ故郷で、父はいつも「誰もがストレスを回避できる場所をつくりたい」と話していました。あの建物自体、もともとは社員の保養施設だったものを一般に開放していたんです。 そして2012年頃、老朽化によるリニューアルを検討していたタイミングで父の他界もあり、「父の想いを引き継ごう」と考えていた時に、ビオホテルの方とも出会い、お話をしたら意気投合できて。 —ビオホテルさんにしても、なかなか国内に基準を満たす施設が見つからないというところで、嬉しい出会いだったのではないかと思います。
昨年発売を開始した新しいライン「Kamitsurenbaby」のアイテム
北條 そう思ってくださっていたら嬉しいです。 そしてその流れで、「今は電気でもこんなことができる」ということとみんな電力さんのことを教えていただきました。今もお互いでいいモノを紹介し合う、いい関係性が築けています。 —実際に切り替えてみて、いかがでしょう? 北條 切り替えて、まずは安心感があります。それはトレーサビリティがとれていることからくる納得感といえるでしょうか。あとは「心が温まる」というか、そういう効果があると思います。 電気は目に見えないものだけれども、みんな電力さんはそれを肌で感じられるようにイロイロ工夫してくださっています。そこは数字や言葉にしにくい部分ではあるんだけれど、抽象的ですが、みんなで温かみや柔らかみを感じられることなんじゃないかと思います。 —江東区や深川という土地柄や、そこに拠点を持つ御社の社風は、そういった新しいものを受け入れやすいということを感じますか?
北條 あると思います。 産業連盟さんはいつも新しいものを探しているし、何か見つけるとすごく広めてくれます。そういう意味で、この地域にはすごくパワーがあります。区長とも、「江東区には環境に優しいエネルギーが必要」ということで話しているんです。 —深川は平賀源内がいた、エレキテル発祥の地です。この地域からこそ、新しい電気が盛り上がっていったらと願うばかりです。 北條 そうですね(笑)。 私は8月に地域で開催される「深川アートパラ」にも関わって、「一般社団法人深川アートパラおしゃべりな芸術祭」の代表という役職を仰せつかっています。それはアートを通じての街歩きがベースになっている、大きなイベントです。江東区って、実際に街を歩くと「あら、こんなところに」みたいな新発見がいつもある場所だと思います。 このあたりは風情や文化があって、昔ながらのものが少しずつ残っていて、それを皆さんが大切にしていたり、そういう「人間のハート」がそこかしこに残っているエリアなんです。 それに最近は、大きい企業も江東区に移ってきています。最近、東陽町にはロレックスさんが来ました。明治さんもいます。だからこの辺の朝はすごいラッシュで、大きな企業さんが来て、住んでいる人にしたって、どんどん増えてきている気がします。だから、このエリアを「愛しちゃう人が増えてきているな」って(笑)。 —人と人の繋がりが活性化してきている。
北條 そしてやっぱり、私自身もそういうことが好きなんです(笑)。それは、人と人を繋いでいくこととか、、 —エレキテルに加え、去年は2つの巨大台風がきました。あれらは気候変動が原因とされていますが、荒川や隅田川がもしかすると決壊して、海抜0mのエリアが多いこの地域が水に浸かるんじゃないかという危機感を、多くの方々が感じたと思います。 北條 しかも実際には、まさか武蔵小杉で多摩川が氾濫して、あんなところで大きな被害が出ました。 もう本当に、ありえないことが起きる時代になってしまったので、そこはみんなでイロイロ変えていかないといけないと思っています。環境の問題が喫緊の課題になってしまいましたが、その時、私のまわりに多いオーガニックを好む人たちはすぐ行動に移せたり、「何かしよう」という意識と力が強いと思います。 お付き合いさせてもらってる若いヘアメイクさんも、彼女は千葉出身で、台風のすぐ後に「何かできないか」ということで、私たちの商品を買ってくださり、「仕入額と送料を除く売上金が台風15号、19号と豪雨による被害の義援金になる」というプロジェクトを立ち上げてくれました。「若いのに本当に素晴らしいね」って話したんですが、そういうことをすぐ考えてすぐ動くのが、こういったオーガニックの業界には多いということを改めて感じています。 —感度は高いし、行動力もある人たちの集まりである。
北條 もともと人と人との温かい繋がりが強いエリアで、さらには自然環境の変化に対してみんなで力を合わせて取り組みを進められたら、それはすごい力になるんじゃないかと思います。 たぶん、この地域の強みは、それぞれいろいろなものを「つくっている人の顔が見える」ということが大きい気がしています。 —まさに、みんな電力が常々言っている「顔が見える」関係です。 北條 でしょう?(笑) 私たちもまだ発電所の見学までは行けていませんが、電気はホテルがあって父の故郷でもある、長野産のものを選ばせてもらっています。それをサイトや画像で見ているだけでも、「ああ、この人たちが一生懸命つくってくれている電気なんだな」ということがわかって、ありがたみを感じながら日々を暮らせます。 光り具合だって、本当はそうじゃないのはわかってるんですが、何となく違って見えますよ(笑)。
北條 裕子(株式会社SouGo 代表取締役社長) 1959年、父・北條晴久が相互印刷工芸株式会社を設立、1964年、江東区牡丹に自社ビルを新築、1993年、江東区塩浜に自社ビルを移転、2019年、株式会社SouGoとして61期を迎えた。 印刷事業とライフスタイル事業を展開。印刷事業では持続可能な資材やインキなどを使用し、環境に配慮した印刷物の提案を実施。 ライフスタイル事業では、ご家族全員で安心してお使いいただける、カモミールにこだわったスキンケアシリーズ「華密恋」を製造・販売。 身体的・精神的にストレスにさらされていることの多い時代。心と身体をリセットする場、製品を提供することにより、「人のお役にたちたい」という想いを持ち、国内生産者と連携してカモミールの有機栽培を広げ、幅広い活動に注力。 また、10年前から乳がん患者支援団体の活動を支援し、所有するお宿「八寿恵荘」は、ピンクリボンのお宿ネットワークに登録。さらに、日本初のBIO HOTEL®認証を取得した宿。 カミツレエキス製造工場と華密恋の湯をお楽しみいただける八寿恵荘、有機JAS認定の自社農園のあるエリアを「カミツレの里」とし、長野県北安曇郡池田町の町おこしも行っている。 北条さん他、練馬の美味しいパン屋さん「ブーランジェリーベー」、深川のマインドフルネス・インストラクターさんも 登壇して、エレキテルの地からこそ広まるべき再生可能エネルギーについて語るイベント@3/7、是非、お越しください
エネルギーのポータルサイト「ENECT」編集長。1975年東京生、School of Visual Arts卒。96〜01年NY在住、2012〜15年福島市在住。家事と生活の現場から見えるSDGs実践家。あらゆる生命を軸に社会を促す「BIOCRACY(ビオクラシー)」提唱。著書に『虚人と巨人』(辰巳出版)など https://www.facebook.com/dojo.screening X @soilscreening
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